『人間力学ショー THE BEST』<故林広志prd. 親族代表>

  作・演出の故林広志氏は、既に知る人ぞ知る作家らしい。人力舎のスタッフである小川さんも知っていた。 親族代表は男3人によるコントのユニットで、彼らがやった故林氏のネタがオモシロかった事を小川さんに言ったら、「オモシロイけど、演劇的過ぎるのではないか」との彼の言だったが、私も同感である。

 ネタはおもしろいのだ。オープニングも含めて全部で12個ほどあったが、ライブが終わって私は自分のメモにスラスラ書き留められた。一つ一つのオモシロサが鮮明に頭に残っているからできた事である。

 おもしろいものって、ネタが始まった瞬間にワカル。『アッ、この発想でくるのか!オモシロイな』って腹の中でニンマリしてしまうものが故林氏のつくるものにはあると思う。

 しかしである。演出上のアプローチが演劇的に過ぎるのだ。不条理っぽいテイストを意識していると、故林氏は言っておられたが、私は内心、それはチョット惜しいのではないかと感じた。例えば、良い食材は、煮たり、焼いたり、加工して食うより、生で味わう方が一番おいしいじゃん、みたいな。あくまで憶測ではあるが、オリジナリティーをねらった結果が、演劇的なつくりなのかとも思う。                

 だが私は、老婆心ながら、ネタ本来のおもしろさに演劇的なものがフィルターとなって、かすみをかけてしまっているのではないかと考える。ネタのインパクトもなくなる。具体例を一つ述べると、演劇的な間(思わせぶりなもの、あるいは不条理なもの)は、時として観客のあらぬ想像力をかきたて、ストレートに笑えなくなってしまう場合もあるのだ。私はコントにおける演劇的なものを、否定したり排除すべきであると言っているのではない。私が昔やっていたコントだって演劇的な方だった。つまり、あくまでもサジ加減の問題なのだ。平たく言えば、ネタのオモシロ味を素直にストレートにやった方がいいじゃないデスか!って事です。

 それと、あとは演者の芸も多いにかかわってくるのであるからして、故林氏のネタを腕のあるお笑い芸人でやってもらって、それを観てみたいと思う。人力舎の若手有望芸人が彼のネタをやってもオモシロイだろう。さらに、JCAの教材としても故林氏のコント台本は最適だし、かなり笑いの力がつくと思う。

 ともあれ、故林氏の今後のさらなる展開を、私は多いに期待したい。

<故林広志 prd. 親族代表 『人間力学ショー THE BEST』>                      
公演日時:2004年2月10日〜2月15日 下北沢OFF・OFFシアターにて                 
作:故林広志 演出:故林広志&親族代表

 

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