『プレミア』<TEAM-090>

 劇団円の養成所の出身者、男6人からなる劇団 090による第7回公演だ。

 作・演出の藤野直彦氏とメンバーは皆20代と若く、これから伸びていこうという元気に溢れた劇団という印象だ。

 この劇団 090は、2000年の旗揚げ以来一貫してワンシチュエーションのコメディをつくってきた。                      設定はギャラリーだったり、法律事務所だったり、その他難破船の中(ヒッチコックの救命艇から材をとった)、ペンション、建築現場等々。

 今回は質屋だ。雑多な人間がやってくる質屋。常連のホステス、アニメオタクの男、若いカップル、そしてあるダイヤを探すナゾの老人。

 コメディに限らず、一場面で芝居を成立させたい場合、なるだけ人間が自然に集まったり、無理なくとどまったりする設定は不可欠だが、作者藤野氏のセレクトは今回といい、今までのものといい、なかなか良いのではないかと思う。

 さて、質屋である。

 若い兄と妹の小さな店。そして、少しおっちょこちょいの男が従業員として1人いる。                              店主を務める兄貴の夢は、銀座並木通りに自分の店を出すことである。何故なら、自分達の父が昔そこで質屋をやっていたから。           この若き店主には、才能がある。物をみる才能が。質草から現在の価値をつけるだけでなしに、その物を持っていた人間の歴史や思いなども見通すことができる才能だ。

 これは、芝居のラストへの伏線となる。

 物語の本線は、銀座の大金持ちの老人が、昔別れた恋人に贈ったダイヤの指輪を手がかりに、実の娘を捜していくうちに巻き起こる人間模様というものだが、キチッと人情喜劇として構築している。

 オープニングをはじめ、いたるところで使っているアメリカのスタンダードナンバーも、大人の街・銀座のふところの深さや、何か人間のやさしさなども感じさせ、なかなかよろしい。

 役者達に関しては、演技的にまだ若い故に練れていない部分も多少は見られたが、それぞれが個性的で、この舞台を見る限り、各自の役によくキャスティングされていたように見受けられる。

 このTEAM 090という劇団の特色は、メンバーのバランスの良さだろう。女優は客演だそうだが、なかなかカワイイ娘もそろえている。(いわゆる劇団臭い女優でなしに、メインにそういうタイプを配せることは人気へのポイントだ)

 男優のメンバー6人は、それぞれが○○風と簡単に説明できる程、キャラが立っているのだ。

 曰く、質屋の店主は上川隆也と岸谷五朗を足して2で割った風。店に突然従業員として雇ってくれとやって来るオタク男が渡辺いっけい風、等々。

 TEAM 090は、奇をてらわず、コメディの王道に向かって真摯に取り組んでいるように思うし、その姿勢には好感が持てる。

 彼らのコメディがメジャーへの上昇を目指すなら、今の彼ら自身のキャラクター・バランスは好材料と言えるのかも知れない。

 作家藤野氏には、さらに良いホンを。
  役者達には、さらなる良い芝居を。

 
そういったエールを送りたくなる、TEAM 090だった。

TEAM 090『プレミア』                                  
公演日時:2003年11月20日〜24日 銀座小劇場                                
作・演出:前田マルシェ(藤野直彦)                                                 

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