『トカゲを釣る』  スロウライダー  
2006年3月26日(日)  駒場アゴラシアター

  オモシロカッツタデス。まず、今風の若者の日常会話を自然に話す役者達の演技に引き込まれました。
「ブロークンな日本語を流暢に操る等身大の若者像を表現した役者」が正にそこにいたと言っていいでしょう。
次に魅せられたのは、その世界。作・演出の山中隆次郎さんの作品は評して、一口にホラーとの声もあるよう
ですが、異常な世界を描く中で、言いようのない不安や恐怖、または居心地の悪さみたいなものをジワジワと
体感させてくれる上質の心理劇だと感じました。多くの若者達が共同生活する寮。彼らは自給自足の生活をし
ており、その寮の地下には若者一人ひとりにあてがわれた、蝸牛なる生き物が生息している。様々な過去と事
情を抱えた若者は娑婆と決別し、この隔離された空間で生きていくためのよるべとなるもの、蝸牛を敬い、農
作業に従事している。そして、蝸牛には若者との間に仲介するものートカゲがおり、トカゲを通じて若者は蝸
牛を飼いならし、同時に、ソレから守られていると実感している。そして時々、若者は床下のトカゲに告解を
し、精神の均衡を保つ。チョイト、チンプンカンプンであるナと、頭を振りつつ観劇しつつも、眼の前のリア
ルな世界を見せられると、果てしなくいろんな想像が膨らみ、殊の外エキサイティングでありました。
「社会構造の背後でざわめく負の感情を引き出せれば、ホラーは怖くなくてもいい」とは、作者である山中さ
んの言葉ですが、マンマと彼のねらいにハマッタひと時でした。


   

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