『ダークマスター』庭劇団ペニノ  
2006年1月14日 土曜日  こまばアゴラ劇場

  
 オモシロかったです、庭劇団ペニノ。最近気になる劇団だったのですが、観にいって良かったです。見世物としての、いい傾き加減 というか、脚本・演出のタニノ・クロウ氏の才気に感心した次第。
 『ダークマスター』は、原作が2004年カンヌ映画祭でグランプリを獲得した狩撫麻礼(土屋ガロン)とガロ出身の漫画家 泉晴紀 のコンビが1995年に発表した傑作短編漫画です。
  失業した中年男が夢も希望もなく、さまよい歩き疲れ、腹ペコでたどりついたのが、古ぼけた洋食屋キッチン長嶋。
そこには足の不自由な物言わぬ老婆と小人のコックである店主がいた。このコック(ダークマスター)役を演じたマメ山田さんが最高 に良かったです。彼は日本で一番小さい手品師であると同時に蜷川幸雄演出の舞台や映画等に出演する俳優でもあります。
 劇中、洋食屋にやって来た中年男が、このマスターから月50万円で店を任され、姿を消したマスターからイヤホンで指示を受けな がら料理をつくり、店は以前より繁盛するという流れの果てに、いつしか中年男はマスターに心までコントロールされるというのが この芝居のあらましです。タニノ氏いわく、アメリカと日本の関係をこの作品に託したというテーマ性も興味深くあるのですが、私 が最も魅了されたのは、マメ山田氏をはじめとする個性的な役者陣とタニノ氏の創造する劇空間でした。
 マメ山田氏の異形の者としての存在感と驚くほどの自然な演技、中年男役の劇団唐組の久保井研氏、ヤクザ役の白鳥義明氏。この御三方が特にすばらしかったです。そして、動と静、緊張と緩和をわきまえた演出。なかなかのものだと思いました。
 タニノ氏は芝居をつくる上で、観客の五感に訴えること、舞台から観客がストレスを感じないか、そういった部分にかなり重点をお いているようで、これは彼が精神科医であるということと共に、大変興味深いことです。
 人間心理の内奥部をくすぐるエンターテイメント。それが庭劇団ペニノであり、今後の動きに目が離せません。
       


   

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