『ひよこのパジャマ』うわの空・藤志郎一座 2005年9月24日(土) シアターグリーン


 この劇団、2回目の観劇です。初回は、昨年の5月に紀伊國屋ホールで観た『水の中のバースボール』
というお芝居でした。この芝居の評に関して、当時、私はこう書いています。
『うわの空の芝居のつくり方は、設定を決めた上で、役者が自由に動き、喋ったものを座長の村木氏が
まとめ、肉付けしていくというものらしいのですが、なるほど役者の台詞からギャグにいたるまで、すご
く生き生きとしていました。』
 私は、この劇団の伝統的東京軽演劇風なところや、上記の様な演技スタイルにも拍手を送りました。
そして1年以上たって、この一座がどういった展開を新たにしているのか、再び観たくなったのです。
 前回のお芝居は同窓会もので舞台は居酒屋でした。今回は東京の下町の、とあるギャラリー。
そこは、下町の名も無き芸術家の作品が置いてあって、誰でもブラリと入ってこられる気安い所です。
 このギャラリーを経営している家族は、つい最近父親をなくしたばかりです。落ち込む母親を姉と弟
は励まし、一家は下町ッ子らしくチャキチャキっと生きています。そんなギャラリーに現れる個性豊かな
下町の住人達。以前は乱暴者だった女性陶芸家。超が付くタイガースファンで、関西人のくせに、江戸
風鈴を作っている男。いい加減な事ばかり言う寺の息子。力士風のIT関連の男。そして村木藤志郎氏
演じるお調子者のタタミ屋等々。キャラクターはいろいろで、今回も作者でもある村木氏のサービス
精神は満点でした。
 ただ、あえて苦言を呈させていただくのならば、村木氏と他の役者さん達とのバランスがチョット悪
かったかな。村木氏の存在は劇団にとって、藤山寛美や花紀京みたいなもんです。そんな彼は、場面に
効果的に登場して、まぜっ返し、引っ掻き回し、それでもチョット良いことを言ったり、でもヤッパリ
バカだったりと、喜劇の根幹を成す大事な役どころです。前回の村木氏は決して出過ぎず、自らの役割
を有効に発揮していたのですが、今回は やや露出し過ぎに思いました。芸達者であるが故に、アドリブ
が長くなると、それを受ける座員達が少々場の状況をもてあましてしまうというような所がチラホラ見
受けられました。さらに今回は、稽古場で生まれた多くのアイデアを本番の芝居にまとめるまでの、
絞り込みの作業が、もうひとつ足りなかったのではと推察します。
本番となると、ノリのいい一座故に、そのノリに流されず、芝居どころはキッチリ芝居をして欲しい。
好きな劇団だからこそ、そう思ったのでした。

   ◆うわの空・藤志郎一座 info@uwanosora.com

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