『ヒラカタ・ノート』<ニットキャップシアター>
 京都に仕事に行って、オフを観劇に利用しない手はないと出かけました。
 劇団名は“ニットキャップシアター”作・演出は“ごまのはえ”という男性です。ヒゲづらで、ずんぐりむっくりしていて、むさくるしそうで、まったく名前から来るイメージピッタリの人でした。
 このごまのはえさん、77年生まれ、若いです。大阪府枚方市出身、99年に劇団を旗揚げし、芸術性とエンタテイメント性の両立を目指し、主に京都で活動しています。

 「ヒラカタ・ノート」は彼が育った枚方市を舞台に、実家で暮らす20代後半の青年、10代で交通事故死した少女、インチキ易者の3つの話が交錯するものでした。明るく暗い青春もの〜と作者が言う通りのお芝居でした。

 枚方の団地(実家)に住む20代の青年。高校からの友人は大学に進み、今は東京で働いている。しかし、彼は大学にも行かず仕事にも就かず、30才目前にして無為なる日々を送っている。バイトをしている頃はまがりなりにもフリーターだったが、今は引きこもりの状態であり、そんな彼の脳裡に去来するのは以前交通事故で死んだ少年の面影。彼女とは団地の中庭でよく恋の相談に乗ってもらった仲であり、あの頃が唯一自分にとって青春のキラメキだったと思うのが、何ともむなしくせつない。
 青年が人生と自己の存在に悶々と悩む姿や、事故死した少女が肉体的言語で表現されていることに対しては、それが良く伝わって来ましたが、死んだ少女にからんでくる占い師の存在が今いち良くわかりませんでした。
 ともあれ、この「ヒラカタ・ノート」はある青年の高校卒業期以降を描いたセピア色の青春黄昏物語なのでした。

 滑稽で笑える部分もあったものの、全体的には何とも哀愁を帯びたお芝居でした。
 いい年をした男がジャージ姿で何もせず実家でゴロゴロしている。
 そんな男がラストシーンで舞台の周囲を歩きつつ、溶暗していくところ。
 そして舞台の上手、下手でコロスとして、出演者達がいろんな肉声を駆使した効果音。
 さらには肉体言語とも言っていい、集団による良く訓練された動き。そのどれもが大変に印象的な演出であり、若く瑞々しい感性が伝わってくるものでした。

2004年12月14日(火)観劇

<ニットキャップシアター>
公演日時:2004年12月9日〜14日 京都芸術センターにて
作・演出:ごまのはえ

○次回予告○
「美脚ルノアール(仮)」
2005年4月 下旬 大阪港倉庫

 

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