『ネバーランド☆A GO GO!』<TOON BULLETS!>

 作・演出の浅沼晋太郎氏は、多摩美大出身の若干27歳。「おもしろいものをつくる」作家である。
コメディーの演出家として、"買い"である。各方面にお勧めできる。

 この「ジップ・アップ!」というコメディーは、三谷幸喜氏のつくるシチュエーションコメディーのテイストに、
アクションの要素も加味されている。

 今回の舞台の役者のギャグや間の取り方、言葉の音と出し方一つとっても、相当、徹底した稽古をしたなと
感じたので、その点を浅沼氏に聞いたところ、やはり笑いに関してこだわりを持っていることが分かった。
ギャグの仕掛けに100%とまでは言わないが、70%は笑いをとっていた。笑いはスピード感があって、シャープである。

 さて、彼のこだわりは笑いの他にも、衣装(ヒーローショーのコスチュームは、絶対東映あたりからの借り物だと
思ったが、全部手作りと聞いて驚いた。)、銃の発砲、特殊効果(銀のテープの爆破)、殺陣、そしてパンフレットの作成
及んでおり、そのことごとくが本物志向である。それは、彼の目指す演劇が "デートプランとして、選びたくなるような、
最高にスタイリッシュそしてエンターテイメントなもの" であるところからきているのだろう。

 話の内容としては、着ぐるみショーの司会をやっていた女性の結婚披露宴の余興で、かつての仕事仲間達が、ヒーロー
ショーを企画するのだが、そこに居合わせた人々が巻き起こすアクシデントの数々が、新郎新婦とヒーローショーチーム
を襲う。果たしてショーは成功するのか?披露宴は無事に終わるのか!?・・・とその設定がコメディーの王道をいっている。

 浅沼氏は、その話を2時間半の笑いとアクションでまとめ上げた。(話の展開にやや中だるみが見られたので、もう30分ほど
整理して、2時間程度にまとめ上げた方がより良かったのではないかと思ったが・・・)

 劇団名、TOON(漫画)BULLETS(弾丸)には、アメリカの漫画のようなポップなアプローチで作った作品を、弾丸のような
勢いで提供していきたいとの意味が込められているそうである。

 浅沼氏の才能は、今後コメディーに留まらず、映画等、各方面にも発揮されていくだろうと感じたのだが、彼に更に望まれる
のは、浅沼氏自身の文体が確立されることー。もっと強い、これぞ浅沼作品と呼ばれるようなオリジナリティーである。第3回
以降の公演に期待しよう。

<TOON BULLETS!2nd SHOT 『ジップ・アップ!』>
公演日時:2003年10月1日〜5日 シアターV赤坂にて
  主宰:浅沼 晋太郎
企画製作:Cartoon Campany

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